30秒まとめ
- 年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を離婚時に夫婦で分け合う制度
- 方法は「合意分割」と「3号分割」の2種類。3号分割は相手の合意が不要
- 請求期限は原則離婚した日の翌日から5年(2026年4月1日より前の離婚は2年)
1年金分割とは?分けるのは「年金の記録」
年金分割とは、離婚したときに、婚姻期間中の厚生年金の記録(保険料の納付実績)を夫婦の間で分け合う制度です。会社員として働いていた側だけに厚生年金の記録が積み上がり、専業主婦(主夫)やパートで働いていた側の老後の年金が少なくなる——そうした不公平を、離婚時に調整するための仕組みです。
年金分割で押さえておきたいポイント
- 対象は厚生年金の部分:国民年金(基礎年金)の部分は分割の対象になりません
- 分けるのは「記録」:受け取っている年金のお金そのものを分け合う制度ではありません
- 財産分与とは別の手続き:預貯金や不動産を分ける財産分与とは別に、年金事務所で手続きをします
2合意分割と3号分割の違い
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2つの方法があります。どちらが使えるかは、婚姻期間中の働き方によって変わります。
| 方法 | 内容 | 相手の合意 |
|---|---|---|
| 合意分割 | 婚姻期間中の厚生年金の記録を、夫婦の合意または裁判手続きで決めた割合(按分割合)で分ける。割合の上限は2分の1 | 必要(まとまらなければ裁判所が割合を決める) |
| 3号分割 | 2008年4月1日以降に、相手の扶養に入っていた期間(国民年金の第3号被保険者期間)について、相手の厚生年金の記録を2分の1ずつ分ける | 不要 |
なお、合意分割を請求した場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれていれば、3号分割も同時に請求したものとみなされます。
3年金分割の手続きの流れ
合意分割の場合、おおむね次の流れで進みます(3号分割だけを請求する場合は、②の割合の取り決めは不要です)。
- 情報通知書を取り寄せる:年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求し、分割の対象となる記録や割合の範囲を確認します
- 按分割合を決める:夫婦の話し合いで割合を決めます。合意できない場合は、家庭裁判所の調停・審判で割合を定めてもらいます
- 年金事務所で請求する:合意の内容を示す書類(公正証書など)や調停調書・審判書などを添えて、年金事務所に分割の請求をします
年金分割には請求期限がある
年金分割の請求は、原則として離婚した日の翌日から5年以内に行う必要があります(2026年4月1日より前に離婚した場合は2年以内)。期限を過ぎると請求できなくなるため、離婚時にあわせて割合を取り決め、早めに手続きを済ませましょう。
期限が迫っている中で調停や審判を申し立てた場合などには、期限を過ぎても請求できる特例があります。期限が近い場合は、早めに弁護士へご相談ください。
4年金分割で注意したいこと
- すぐに年金が増えるわけではない:分割を受けた記録は、ご自身が年金を受け取れる年齢になり、受給資格を満たしてから年金額に反映されます
- 離婚協議書に書いただけでは完了しない:割合を取り決めても、年金事務所での請求手続きをしなければ分割されません
- 相手の同意が得られないとき:合意分割は、家庭裁判所の調停・審判で割合を決めることができます。多くの場合、割合は2分の1と定められています
5よくある質問
専業主婦(主夫)でも年金分割はできますか?
できます。2008年4月1日以降に相手の扶養に入っていた期間(第3号被保険者期間)は、3号分割により相手の合意がなくても2分の1を分割できます。それより前の期間は、合意分割で割合を決めて分割します。
国民年金も分割されますか?
いいえ。年金分割の対象は厚生年金の記録です。国民年金(基礎年金)の部分は分割されず、それぞれが自分の加入実績に応じて受け取ります。
年金分割の期限はいつまでですか?
原則として、離婚した日の翌日から5年以内です。ただし、2026年4月1日より前に離婚した場合は2年以内となります。期限を過ぎると請求できなくなるため注意が必要です。
離婚時のお金の取り決めでお悩みの方へ
年金分割・財産分与・養育費など、離婚時のお金の問題はまとめて整理することが大切です。取り決めの内容から手続きまで、弁護士がサポートします。
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6まとめ
この記事のまとめ
- 年金分割は婚姻期間中の厚生年金の記録を分け合う制度(国民年金は対象外)
- 合意分割は割合を合意か裁判手続きで決める。3号分割は相手の合意が不要
- 請求期限は離婚した日の翌日から5年(2026年4月1日より前の離婚は2年)
- 取り決めただけでは完了せず、年金事務所での請求が必要
年金分割は、離婚後の老後の生活に長く影響する大切な手続きです。財産分与や養育費とあわせて、離婚時にしっかり取り決めておきましょう。お困りの際は、早めに弁護士へご相談ください。
参考リンク(一次情報)