30秒まとめ

  • 遺留分とは相続人に保障される最低限の取り分
  • 配偶者・子ども・親には遺留分がある(兄弟姉妹にはない)
  • 遺留分侵害額請求の期限は相続開始と遺留分侵害を知った時から1年

1遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された、最低限の相続財産の取り分のことです(民法1042条〜)。

被相続人は遺言により自由に財産の処分を行えますが、遺族の生活保障等の観点から、遺留分という制度で一定の歯止めがかけられています。

遺言書に「全財産を○○に渡す」と書かれていても、遺留分を有する相続人は遺留分に相当する金額の支払いを請求することができます。

2遺留分を請求できる人

遺留分が認められるのは、以下の相続人のみです。

相続人 遺留分
配偶者 あり
子ども(代襲相続人を含む) あり
直系尊属(親) あり(相続人が直系尊属のみの場合)
兄弟姉妹 なし

兄弟姉妹には遺留分がない

遺言で「兄弟姉妹には一切相続させない」と記載された場合、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求をすることができません。この点は相続対策として重要なポイントです。

3遺留分の計算方法

遺留分の割合

相続人の構成 遺留分の合計 各相続人の遺留分
配偶者のみ 1/2 配偶者:1/2
配偶者と子ども 1/2 配偶者:1/4、子ども:1/4(人数で按分)
子どものみ 1/2 子ども:1/2(人数で按分)
配偶者と親 1/2 配偶者:1/3、親:1/6
親のみ 1/3 親:1/3(人数で按分)

計算例

被相続人の遺産が6,000万円、相続人が配偶者と子ども2人の場合:

  • 遺留分の合計:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円
  • 配偶者の遺留分:6,000万円 × 1/4 = 1,500万円
  • 子ども1人の遺留分:6,000万円 × 1/4 × 1/2 = 750万円

遺留分算定の基礎となる財産

遺留分の計算の基礎となる財産は、以下の算式で算出されます。

相続開始時の財産 + 生前贈与の価額 − 債務

生前贈与については、相続人への贈与は相続開始前10年間のもの、相続人以外への贈与は相続開始前1年間のものが原則として算入されます。

4遺留分侵害額請求の手続き

①内容証明郵便による請求

まず、遺留分を侵害している相手方に対して内容証明郵便で遺留分侵害額請求の意思表示を行います。これにより時効の完成が猶予されます。

②交渉

相手方と金額や支払方法について交渉します。合意できれば合意書を作成します。

③調停

交渉で合意できない場合、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てます。

④訴訟

調停でも解決しない場合は、地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起します。

5遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額請求権には2つの期限があります。

期限 内容
消滅時効 相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年
除斥期間 相続開始の時から10年

期限に注意

特に重要なのは1年の消滅時効です。相続が開始し、遺留分が侵害されていることを知ったら、速やかに内容証明郵便で請求の意思表示を行う必要があります。1年はあっという間に過ぎるため、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

6よくある質問

遺留分は放棄できる?

相続開始前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条)。相続開始後であれば、遺留分侵害額請求権を行使しないことで事実上放棄できます。

遺留分侵害額請求は現物でもらえる?

2019年の民法改正により、遺留分侵害額請求は金銭による支払いが原則となりました。不動産そのものの返還ではなく、遺留分に相当する金額の支払いを請求する形になります。

生前贈与も遺留分の計算に入る?

はい。相続人への生前贈与(相続開始前10年間)や、第三者への生前贈与(相続開始前1年間)は、遺留分算定の基礎財産に加算されます。

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7まとめ

この記事のまとめ

  • 遺留分は相続人に保障された最低限の取り分
  • 配偶者・子ども・親に遺留分がある(兄弟姉妹にはない)
  • 遺留分の割合は相続人の構成により1/2または1/3
  • 生前贈与も遺留分算定の基礎に加算される
  • 請求期限は知った時から1年、相続開始から10年
  • まずは内容証明郵便で意思表示を行うことが重要

遺留分の問題は感情的な対立に発展しやすい分野です。適正な権利を確保するために、弁護士にご相談ください。